生命とは何か〜物理学的に見た生細胞〜
相当読み終えて時間が経ちましたが、とりあえず読み終えた証に(?)感想。
まぁ、物理学者であるシュレーディンガーが、生命とは何かを物理的に考察した本ですが、かなり昔の本なので(1944年:まだ遺伝物質がDNAではなく、タンパク質と考えられてた時代wさらに言えばまだワトソン・クリックによるDNA二重らせん構造が発見されて無い)、今読むと、間違いなどたくさんあるんですが…シュレーディンガー自身の考察力というか、先見能力というか、そういうのに脱帽です。生命の本質の一つである遺伝子を安定な非周期性の結晶であると彼は書いてますが、これはまさしくDNAのことを示しています(まぁ、タンパク質も非周期性の結晶である気もしますがw)。
また、生命は負のエントロピーを食べて自身のエントロピー増大を減らしている、というは面白いと思います。これはある種間違った考えですが(生命はエントロピー増大を熱として外界に放出している)、概念的にはかなりしっくりきました。
遺伝子の安定性について、遺伝子はエネルギーの壁によって囲まれており、その壁を超えないと突然変異が起こらないというのは面白い表現です。確かに人為的に突然変異を起こすにはX線など照射し(つまりエネルギーを加えて)、起こします。また、自然の突然変異も複製途中のミスなどで起こります(つまり鋳型との結合に通常よりもエネルギーが必要)。こう考えると、言っていることは間違いじゃないかな、と思います。
総じてかなり楽しかったかも。最初は生物の基本的説明で、わたしにとってはアレでしたが、後半の量子力学が出始めた辺りからかなり良かったです。以前どこかで20世紀の名著と書いてありましたが、わかった気もします。生物習ってる人や物理習ってる人にかなりオススメです。
- 作者: E.シュレーディンガー,岡小天,鎮目恭夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1951/08/05
- メディア: 新書
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