De novo mutations in the gene encoding STBP1(MUNC18-1) cause early infantile epileptic encephalopathy
備忘録的な意味で簡単なまとめを書いておきます…。
2008/5/11のnature geneticsの論文。大田原症候群とも呼ばれる、EIEE(early infantile epileptic encephalopathy)の原因遺伝子を特定しました。大田原症候群は、幼児にて発症するてんかん。周期性の強直発作を起こし、薬が効きにくいらしいです。その病気をもった子供13人を調べると、4人で遺伝子名STXBP1、タンパク質名MUNC18-1の変異が見つかりました。4人のうち3人の子供の親では、その遺伝子での変異が見つからず、De novoで起こった変異だと報告しています。また、その変異は種間で保存されたアミノ酸残基での変異であることがわかっております。
筆者らは、遺伝子解析だけではなく生化学的な解析もしており、4人の子供で見つかった変異を持つMUNC18-1を発現させ、Circular dichroism spectraでタンパク質の二次構造の変化と、温度に対する安定性を調べました。4つの変異のうち3つは精製した結果aggregationしてしまい、C180Yのみが実験に用いることができました。C180Yは、二次構造に関しては大きな変化が見られなかったものの、温度安定性が野生型に比べて10度下回ってることがわかりました。その温度は37℃〜38℃前後であり、体温に非常に近いい値を示しました。また、Binding assayも行っており、MUNC18-1が結合するSyntaxinとの結合能が非常に落ちている結果となりました。
以上から、大田原症候群の原因遺伝子の一つとして、STXBP1という遺伝子に変異が起こったこと、MUNC18-1がSyntaxinと結合しないことにより大田原症候群が発症するのではないか、ということがわかりました。
簡単なまとめとしてはこんな感じ。個人的には今までチャネル異常がてんかんの原因だと言われていた中で、新たに原因として神経伝達物質の放出がおかしくなったことによって起こるということが示せたのが面白いと思います。特にMUNC18は非常にミステリアスなタンパク質であり、他のMUNCとは違う挙動を示すモノですし…w
あと、MUNC18のKnock outマウスはたしか神経伝達物質の放出が起こらなくなる…しかし、てんかんは異常な神経の興奮による引き起こされる病気…抑制性のシナプスでMUNC18-1がダメになったのかしらん?