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Synaptotagmin-1, -2, and -9: Ca2+ Sensors for Fast Release that Specify Distinct Prsynaptic Properties in Subsets of Neurons

というわけで、Neuron54号、p567-581の論文です。
Synaptotagminには15のisoformがあり、そのうち-1,-2,-3,-5,-6,-7,-9,-10がCa2+と結合するとして働くことが知られています。今回の論文では、そのうち-9もCa2+センサーとして働き、exocytosisにおけるfast releaseに関与する、という報告を行っています。
まず、筆者らはsynaptotagmin-1のKOマウスから単離したニューロンを用いて、-1,-2,-3,-5,-6,-7,-9,-10をレンチウイルスを用いてtransfectionし、どのようなIPSCを示すか調べました(rescue experiment)。すると、-1,-2,-9にて速いIPSCが観察されました。続いて、頻回刺激をすることで、末端に小胞があまりないからさっきのような結果が得られたわけではないことをしましました。この2つのことから、-9もFast synchronous releaseにおいてCa2+センサーとして働く、ということを示しました。
続いて、先ほどのIPSCを詳細に解析すると、Syt-1,-2,-9の間で放出速度の違いがあることがわかりました。放出速度はSyt-2>-1>-9となります。
その次に、Syt-9の脳での局在を調べました。このことから、線条体にあるだろう、と思われます(断定できないのはGFP-tagged syt-9でGFPを抗原としてみているため。syt-9本体を見ているわけではない)。この事から筆者らは"emotional synaptotagmin"とか言ってました。神経終末に局在しているかを見ても、ちゃんとsyt-9は神経終末に局在していました。
次に、筆者らは線条体ニューロンにおいて、Syt-9がFast synchronous releaseに関与しているかどうかを調べました。先ほどと同様のrescue experimentによって、rescueされたことから、関与していると結論付けられました。
最後に、asynchronous releaseに関与しているかどうかを頻回刺激することによって、調べました。しかし、syt-9は関与していないという結果になりました(筆者らは
None of the synaptotagmin isoforms had a major effect on asynchronous release, suggesting that they probably do not function in asynchronous release.
と言っている)。
Discussionではあまりいろいろ言及していませんが、Syt-9の脳での局在や機能を解析した非常に面白い論文でした。